家族にも友達にも秘密にすると決めた私でしたが、


さすがに友達にまで秘密にするのは無理がありました。


別れたことだけは話していましたが…


特に、一番付き合いの長い歩美には、隠し通すことができませんでした。



ある日、大学の帰り歩美と2人でランチをしていると…


『最近どうなの?』

と曖昧な切り出し方をしてきました。


年下の彼と別れてからというもの、友達から復縁話をさんざん持ちかけられていました。


復縁話をされようとも、どんなに戻りたくても、戻れない状況なのに…


真実を話していない私は、ごまかすのが精一杯でした。


だから、歩美に切り出された時にも



「どうもならないよ~特に連絡もとってないし。」

と内心ビクビクしながら返しました。


でも、歩美が質問した意図は全く違ったことでした。


「違うよ、別れたことじゃなくて…Tさんのこと。」


………


一瞬、頭が真っ白になりました。


別れる前から、


バイト先に好みの良い人がいる、と話していたからでしょうか…


彼女が分析力に長けているのか、私が異様な雰囲気を出しすぎていたからなのかはわかりませんでしたが、


Tの話を出されて確実に動揺していました。


そしてその動揺は、
「えっ?………」


と言うなんとも間抜けな返答と共に歩美の元へ届きました。


私の反応から、だいたいのことを把握したのでしょうか…


「まさか、Tさんと付き合ってるとか言わないよね…?」


顔が少々引きつっていました。



呆れられた、嫌われた、軽蔑された、


色々と頭を駆け巡り、


「ごめん、もう1ヶ月過ぎてる…」


と白状しました。




完全に嫌われることを覚悟していましたが…



激怒はされましたが、嫌われることはありませんでした。


激怒と言っても、“重要なことを自分に言わなかった”

と言う内容で絞られましたが…



そんなこんなで、私は彼女の温かさに救われたんです。
私は、家族にはあまり秘密を作らない方です。


恋愛に関しては、兄弟や母とよく話す方だと思う。


もちろん友達にも。

だけど、バイト先で知り合ったギャンブル好きのフリーターと浮気して付き合った上、あまり幸せでない。


なんて口が裂けても言えなかった。


私の家は厳しく、どちらかと言うと亭主関白だと思う。


真面目で頑固な父はもちろん、ギャンブルと煙草嫌いな母が受け入れるはずがなかった。


友達にも、軽い女だなんて思われたくなかった。


だから、付き合っていることは絶対誰にも漏らしてはならないと思ったんです。


友達にはいつか話すにしても、


家族だけには絶対知られてはならない秘密になりました。


今でも、彼と付き合った一年半は、私の中でなかったことにしなければならないんです。
約束だった1000円が、いつの間にか3000円になっていた。


私の制止にも応じることなく、『あとちょっと…あと1000円…』


とスロットを続けていました。


我慢していた私も、さすがに腹が立ち、

「もういいや、先に車戻ってまってるから、満足したら帰ってきてね。」


と言い席を立ちました。


すると何を思ったのか、Tも席を立ち動いてくれました。


しかしその表情は、完全に不機嫌…としか言いようがありませんでした。



店からでると、周りが急に静かに感じ、ずっと耳鳴りが止みませんでした。


車に戻る間私たちに会話はなく、


なんとなく嫌な雰囲気が流れていました。


Tが車のドアを閉める音も、心なしか大きかった気がする…


車に入ると、


『はぁー…』
Tが大きく溜め息をつきました。


「ごめんね…。」

何故私が謝っているのかわからないけど、なんとなく謝ってしまった私。


私が悪いのか?と思うくらい、Tは不機嫌そうだったんです。


『別にいいよ』

またしても不機嫌そうなTの声。


急に悲しくなり、

「私家に帰るから、戻ってパチンコしていいよ…」

と言いました。


さすがにそこでパチンコに戻ることはなく、


『ごめん。』

と謝られました。


文章にすると意外とさらっと感じますが、実際はもっと微妙な雰囲気だったと思います。


家に帰る直前、

今日のパチンコで使った金額が

2人で〔1万5000円〕だと知った私は、

ただただ驚くことしかできませんでした。