行きたいが、もう私の体では行けない所―四国の岩屋
今まで行きたいところには殆ど足を運んだ。しかし老境の今の体では、遠出は出来なくなったので諦めている。その中で二三、行きたいた所が数か所ある。その一つが久万高原の菅生ースゴウーの岩屋である。
四国の奥に絶景がいくつかある。その一つは面河渓-オモゴケイーであろう。昔若い頃石鎚山に登った後、南に向かって面河渓に降りて、始めて絶景を堪能した。清冽・幽邃な水と、周囲は川に覆いかぶさるような緑の木立、川床も滑らかで、綺麗な水が豊に流れている。日本にもこんな所があるのだなあと、感嘆し立ちすくんだ記憶がある。国民宿舎もあり、その後山のホテルも出来て案内状を頂いたが、いまだに果たせないでいる。
その奥に久万高原がある。友だちの父親が亡くなったのでお葬式に参列した。その遺体のお墓送りに、村人たちが数人棺桶を担いで墓に向かうが、その途中担いだ棺桶を数回180°回転させる。余り珍しい風習なので写真を撮ったが、それがいけなかった。死霊が飛んできて私の頭に刺さり、激しい頭痛をひき起こした。帰宅した後ある友の勧めで、九州の基山町にある高野山系の僧に祈願してもらったら、途端に頭の半分が軽くなった。そしてお寺の清め砂を頂いて家の周りに撒き、般若心経を唱えること数日、やっと痛みは消え去った。何と久万高原は霊魂の棲む怖い所である。
この久万高原の東に菅生の岩屋がある。三つの磐が聳え立つ珍しい景観で、中世修験道の聖地であった。私の信奉する一遍上人が
6ヶ月間修行されて悟りを得られ、阿弥陀仏の称号を唱えることで誰でも極楽往生出来るという信仰は、当時の大衆を巻き込み一大宗教改革を成し遂げられた。その信仰を確立された所が菅生の岩屋である。一遍上人絵図(国宝)には険しい崖に架けられた梯子で、上の洞窟にむかう小僧の絵が書かれている。大分デフォルメされているが、今もその梯子は残ってるという。予てから一度は参詣したいと思っていた私の願望の地である。
面河渓
『一遍上人聖絵』にある菅生の岩屋

