源氏物語の女4 明石の上
正妻葵上が死んでからも、光源氏の女漁りは止まらない。
今度は厄介な女を相手とする。政敵右大臣家の女で、しかも帝の后である朧月夜である。源氏の舅、左大臣は世を去り、今は右大臣家の天下である。その権勢ある政敵の娘と宮中の弘徽殿の間で密会するのだが、ある雷の響く雨の激しい夜、立ち騒ぐ人の中を抜け出すことも出来ず、光源氏と朧月夜はおろおろしている時に、宮中に参内して来た右大臣が二人の密会の現場を発見し、それを朧月夜の母、弘徽殿太后に伝えられると、大后は立腹、 光源氏を官位を剥奪し、宮中から追い出そうとする。
この形勢に26歳の光源氏は、自分から身を退けるべく、3月20日頃官位を返上して須磨に蟄居する。須磨での詫び住まいに、紫の上が一層恋しくなる。翌3月13日に暴風・高潮が襲い落雷で廊下が焼ける。夢に先帝がこの浦を立ち退くように諭される。その折西の明石から領主の明石入道が、住吉明神の夢告だといって明石に移るように船で迎えに来る。明石に移った光源氏は、都に劣らぬ豪奢な明石入道の館で落ち着き、京の知り合いに手紙で知らせる。
明石入道の狙いは、一人娘を、地方領主の子息ではなく、都の高貴な人に嫁がせることであった。明石入道は光源氏をまたとない機会と盛んにもてなし、最後に18歳になった明石の上を引き合わせる。明石の上は、
人ざまは、いとあてに、そびえて、心はづかしきけはひぞしたる。
娘の様子は気品があり、背丈もすらりとして、気のひけるような気高い感じがある。
年変わって7月、帝より召喚の宣旨があり、光源氏は明石の上と歌を交わし、琴を弾じて別れを惜しむ。この時すでに明石の上は懐妊していた。光源氏は二年数か月ぶりに都の二条邸に戻り、久しぶりに紫の上と再会。権大納言に任じられて政界復帰する。
明石の上は無事女子を出産。紫の上にも打ち明けて、姫君の乳母を明石に下向させる。明石入道は京の大井(嵐山近く)の元の邸を改装し、母君、明石の上、姫君を京に移す。光源氏は嵐山の寺の新築にことよせて、四年ぶりに母子に逢いに行く。明石の上は、
すこしなりあひー背丈に似合いやや太り気味でー、こよなうねびまさりてーすっかり女盛りに美しくなりー、たおやぎたるけはいーしなやかな身のこなしー
とても美しくなり、姫君もかわいらしく、光源氏は二人を身近に置くため、姫君を紫の上の養女にして二条院で育てることを相談、子の無い紫の上も受け入れる。姫君も紫の上に馴染んで行く。
その三年後、光源氏35歳の頃、六条に四町の敷地に、四つの寝殿造りを持つ六条院を新築、光源氏と紫の上・姫君との寝殿のほか、同じ敷地に秋好中宮、花散里と、明石の上の住まいも造って、明石の上を邸に迎える。
姫君はいと美し気に雛―ひいなーのように育てられ、紫の上の教育で成長され、八年後の正月明石姫君は皇太子妃として入内する。付き添え役として紫の上が同行するが、三日後明石の上が代わって参内する。二人は初めて顔を会わす。紫の上は明石の上に親し気にお話あり、明石の上は紫の上の気品ある女盛りの美しさと人柄、さすがいろんな女の中で光源氏が紫の上を特別に愛されているのを悟る。
二年後明石女御は男子出産、後の匂宮である。出自の低い明石入道の娘が、光源氏を迎えて姫か゜授かり、その姫が紫の上の養女となることで光源氏の皇族の身分を得て、ついに皇后になるのである。夢のような話である。父の明石入道や母の尼君の喜びようは格別であった。