宮沢賢治の童話
宮沢賢治(明治29~昭和8年)は、大正時代に童話作家・詩人として突出している。東北花巻に生まれ、盛岡中学、盛岡農林高校を首席で卒業。青年時代法華経の信者となって、菜食主義を続けて生涯独身を貫いた。彼の写真の風貌から窺える、東北人の粘っこい気性、秀才であるが武骨な顔立ち、よくあのような風貌から、読む人を楽しい幻想に引きずり込む、素晴らしいメルヘンが生まれたことに驚かされる。確かに世界中を見渡しても、大人の童話ではNO1だ。
とにかく発想がユニークで、しかも少学生頃の子供の目線と、東北土俗の民話風な視点で、時には科学的な・天文学的な知性も見せる。大正という年代は、幕末の混乱・日清・日露の戦いの後の暫しの平和の中で、浪漫思想がはびこり、今も多く歌われ続けている、数々の素晴らしい童謡が沢山作られた黄金時代であった。
作品群の中でも、風の又三郎、セロ弾きのゴーシュ、狼森と笊森・盗森、銀河鉄道が、楽しくて面白い大人の童話である。あの驚くべき発想力は、勿論彼の頭脳から出てくるのであるが、何回読んでも心酔させる、永遠の力を持っている。
またよく知られた「雨ニモ負ケズ・・」の詩も、東北人の一途な迫力に心打たれる。彼のような童話作家・詩人は二度と生まれてこなかった。ああ宮沢賢治!
