『野茨の花』 詩 金子みすゞ『野茨の花』 詩 金子みすゞ 白い花びら 刺のなか、 「おうお、痛かろう。」 そよ風が、 駈けてたすけに 行ったらば、 ほろり、ほろりと 散りました。 白い花びら 土の上、 「おうお、寒かろ。」 お日さまが、 そっと、照らして ぬかめたら、 茶いろになって 枯れました。