『白い帽子』 詩 金子みすゞ『白い帽子』 詩 金子みすゞ 白い帽子、 あったかい帽子、 惜しい帽子。 失くしたものは、 失くしたものよ。 けれど、帽子よ、 お願いだから、 溝やなんぞに 落ちないで、 どこぞの、高い木の枝に、 ちょいとしなよくかかってね、 私みたいに、不器っちょで、 よう巣をかけぬかわいそな鳥なの、 あったかい、いい巣になっておやり。 白い帽子、 毛絲の帽子。 でも、もういいの、