『人魚の木』 詩 金子みすゞ『人魚の木』 詩 金子みすゞ いつだか埋めた種からは、 ちいさい桃の木生えました。 たった一つの人魚だけど、... お庭のすみに埋めましょう。 さみしくってもがまんして、 ちいさい二葉を待ちましょう。 ちいさいその芽をそだてたら、 三年さきで花が咲き、 秋にゃかわいい人魚が生って、 町じゅうの子供にひとつづつ、 木からもいでわけてやる、 人魚の木が生えるから。