『夜の雪』 詩 金子みすゞ
ぼたん雪、こ雪、
雪ふる街を、
盲人がひとり、
子供がひとり。
明るい窓で
ピアノはうたう。...
盲人はきくよ、
杖をとめて。
牡丹雪はかかる、
その手のうえに。
子供はみるよ
明るい窓を。
牡丹雪はかざる、
おかっぱの髪を。
ピアノはうたう
こころをこめて、
ふたりのために、
春の日の唄を。
牡丹雪、こ雪、
ひらひら舞うよ、
二人のうえに
あたたかく、うつくしく。
ぼたん雪、こ雪、
雪ふる街を、
盲人がひとり、

子供がひとり。
明るい窓で
ピアノはうたう。...
盲人はきくよ、
杖をとめて。
牡丹雪はかかる、
その手のうえに。
子供はみるよ
明るい窓を。
牡丹雪はかざる、
おかっぱの髪を。
ピアノはうたう
こころをこめて、
ふたりのために、
春の日の唄を。
牡丹雪、こ雪、
ひらひら舞うよ、
二人のうえに
あたたかく、うつくしく。