『元日』 詩 金子みすゞ『元日』 詩 金子みすゞ みんなで双六しましょうと、 みんなの御用のすむときを、 待っているまはさみしいな。 遠い遠い原っぱで... 男の子たちの声がする。 大戸卸して屏風をたてて、 暗い暗いうちのなか、 お山のようにさみしいな。 凍てた表にからころと さむい足駄の音がする。 昨日は夜を待ちくたびれて、 今朝も跳ね跳ね着物を着たが、 お正月とはさみしいものよ。 姉さん学校へいっちゃって 母さん御用がまだすまぬ。