『大晦日と元日』 詩 金子みすゞ
兄さまは掛とり、
母さまはお飾り、
わたしはお歳暮。
町じゅうに人が急いで、...
町じゅうにお日があたって、
町じゅうになにか光って。
うす水いろの空の上、
鳶は静かに輪を描いてた。
兄さまは紋附き、
母さまもよそゆき、
わたしもたもとの。
町じゅうに人があそんで、
町じゅうに松が立ってて、
町じゅうに霰が散ってて。
うす墨いろの空の上、
鳶は大きく輪を描いてた。
兄さまは掛とり、
母さまはお飾り、
わたしはお歳暮。
町じゅうに人が急いで、...
町じゅうにお日があたって、
町じゅうになにか光って。
うす水いろの空の上、

鳶は静かに輪を描いてた。
兄さまは紋附き、
母さまもよそゆき、
わたしもたもとの。
町じゅうに人があそんで、
町じゅうに松が立ってて、
町じゅうに霰が散ってて。
うす墨いろの空の上、
鳶は大きく輪を描いてた。