『紙の星』 詩 金子みすゞ | もりいさむのブログ

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『紙の星』 詩 金子みすゞ

思い出すのは、
病院の、
すこし汚れた白い壁。

ながい夏の日、いちにちを、
眺め暮した白い壁。
...

小さい蜘蛛の巣、雨のしみ、
そして七つの紙の星。

星に書かれた七つの字、
メ、リ、-、ク、リ、ス、マ、七つの字。

去年、その頃、その床に、
どんな子供がねかされて、
その夜の雪にさみしげに、
紙のお星を剪ったやら。

忘れられない、
病院の、
壁に煤けた、七つの星。