『子供と潜水夫と月と』 詩 金子みすゞ
子供は野原の花をつむ、
けれども、帰るみちみちで
はらりはらりと撒きちらす。
...
お家へかえれば、何もない。
もぐりが海の珊瑚採る、
けれど、あがれば舟におき、
からだ一つでまたもぐる。
じぶんのものは、何もない。
月はお空で星ひろう、
けれど、十五夜すぎたなら、
またもお空へまき散らす。
晦日ごろには、何もない。
子供は野原の花をつむ、
けれども、帰るみちみちで
はらりはらりと撒きちらす。
...
お家へかえれば、何もない。

もぐりが海の珊瑚採る、
けれど、あがれば舟におき、
からだ一つでまたもぐる。
じぶんのものは、何もない。
月はお空で星ひろう、
けれど、十五夜すぎたなら、
またもお空へまき散らす。
晦日ごろには、何もない。