『お店ごっこ』 詩 金子みすゞ
杏のかげの、
三軒お店、
店はちがえど
ずらりと出たは、
おんなじ草っぱ、
名なしの草っぱ。
名前がないから...
なんにでもなるよ。
お菓子屋さんでは
亀の子せんべい、
下駄屋さんなら
草履にこっぽり、
魚屋さんなら
小鯛に比良目よ。
さあさ、店だし、
誰もかもおいでよ、
小石のお銭を
うんとこさ持って。
三軒ならんだ
お店のうえに
杏のお花が
ひらひら散るよ。
杏のかげの、
三軒お店、
店はちがえど
ずらりと出たは、
おんなじ草っぱ、
名なしの草っぱ。
名前がないから...
なんにでもなるよ。
お菓子屋さんでは
亀の子せんべい、

下駄屋さんなら
草履にこっぽり、
魚屋さんなら
小鯛に比良目よ。
さあさ、店だし、
誰もかもおいでよ、
小石のお銭を
うんとこさ持って。
三軒ならんだ
お店のうえに
杏のお花が
ひらひら散るよ。