『鯨法會』 詩 金子みすゞ『鯨法會』 詩 金子みすゞ 鯨法會は春のくれ、 海に飛魚採れるころ。 濱のお寺で鳴る鐘が、 ゆれて水面をわたるとき、 村の漁夫が羽織着て、... 濱のお寺へいそぐとき、 沖で鯨の子がひとり、 その鳴る鐘をききながら、 死んだ父さま、母さまを、 こいし、こいしと泣いてます。 海のおもてを、鐘の音は、 海のどこまで、ひびくやら。