『電燈のかげ』 詩 金子みすゞ
遠足の日の汽車のなか、
誰かはうたって居りました。
先生はは笑って居りました。
硝子のそとの夕空に、
ふっとみたのは、ちろちろと、
花火のような、消えそうな、...
電燈のかげでありました。
みつめていれば、その下に、
母さんのお顔がありました。
山からかえりの汽車のなか、
誰かはうたって居りました。

遠足の日の汽車のなか、
誰かはうたって居りました。
先生はは笑って居りました。
硝子のそとの夕空に、
ふっとみたのは、ちろちろと、
花火のような、消えそうな、...
電燈のかげでありました。
みつめていれば、その下に、
母さんのお顔がありました。
山からかえりの汽車のなか、
誰かはうたって居りました。