『老楓』 詩 金子みすゞ『老楓』 詩 金子みすゞ 年をとった庭の楓に 十一月のお日さまは ときが来たよ、といいました。 ... 年をとった庭の楓は うつうつと昼寝していて 色づくことを忘れました。 新建ちのお倉の楓が高いから 十一月のお日さまは ちらとのぞいたきりでした。 年をとった庭の楓は 青い葉を青いまんまで しずかに散ってゆきました。