『薔薇の町』 詩 金子みすゞ
みどりの小路、露のみち、
小みちの果は、薔薇の家。
風吹きゃゆれる薔薇の家、...
ゆれてはかおる薔薇の家。
薔薇の小人はお窓から、
ちいさな、金の翅みせて、
おとなりさんと話してた。
とんとと扉をたたいたら、
窓も小人もみな消えて、
風にゆれてる花ばかり。
薔薇いろのあけがたに、
たずねていった薔薇の町。
その日
わたしは蟻でした。
みどりの小路、露のみち、
小みちの果は、薔薇の家。
風吹きゃゆれる薔薇の家、...
ゆれてはかおる薔薇の家。
薔薇の小人はお窓から、

ちいさな、金の翅みせて、
おとなりさんと話してた。
とんとと扉をたたいたら、
窓も小人もみな消えて、
風にゆれてる花ばかり。
薔薇いろのあけがたに、
たずねていった薔薇の町。
その日
わたしは蟻でした。