『巡禮』 詩 金子みすゞ
菜種の花の咲いたころ、
濱街道で行きあった、
巡禮の子はなぜ来ない。
私はわるいことしたの、
あのとき、お金を持ってたの、
あねさま三つも買えるほど。...
そのあねさまも買わないで、
思い出しては持ってるに、
秋のひよりの街道には、
やんまとんぼのかげばかり。
菜種の花の咲いたころ、
濱街道で行きあった、
巡禮の子はなぜ来ない。
私はわるいことしたの、
あのとき、お金を持ってたの、
あねさま三つも買えるほど。...
そのあねさまも買わないで、
思い出しては持ってるに、
秋のひよりの街道には、
やんまとんぼのかげばかり。