『月と泥棒』 詩 金子みすゞ
十三人の泥棒が、
北の山から降りて来た。
町を荒らしてやろうとて、
黒い行列つゥくった。
たった一人のお月さま、
東の山からあァがった。...
町を飾ってやろうとて、
銀のヴェールを投げかけた。
黒い行列ァ銀になる、
銀の行列ァぞろぞろと、
銀のまちなかゆきぬける。
十三人の泥棒は、
お山のみちも忘れたし、
泥棒のみちも忘れたし、
南のはてで、気がつけば、
山はしらじら、どこやらで、
コケッコの、バカッコと鶏がなく。
十三人の泥棒が、
北の山から降りて来た。
町を荒らしてやろうとて、
黒い行列つゥくった。
たった一人のお月さま、
東の山からあァがった。...
町を飾ってやろうとて、
銀のヴェールを投げかけた。

黒い行列ァ銀になる、
銀の行列ァぞろぞろと、
銀のまちなかゆきぬける。
十三人の泥棒は、
お山のみちも忘れたし、
泥棒のみちも忘れたし、
南のはてで、気がつけば、
山はしらじら、どこやらで、
コケッコの、バカッコと鶏がなく。