『朝蜘蛛』 詩 金子みすゞ
朝から朝蜘蛛さがったし、
朝からなんだかうれしいし、
きっと、今日こそ来るでしょう。
お母さまも知らないが、
生きて、遠くに棲んでいる、
お父さまのおむかえが。...
すぐに、私は髪結うて、
好きな手毬のおべべ着て、
赤いお馬車に乗るでしょう。
赤いお馬車のゆくみちは、
白い芒のみちでしょう、
野菊もちいさく咲いてましょう。
朝から朝蜘蛛さがったし、
朝からなんだかうれしいし、
きっと、今日こそ来るでしょう。

お母さまも知らないが、
生きて、遠くに棲んでいる、
お父さまのおむかえが。...
すぐに、私は髪結うて、
好きな手毬のおべべ着て、
赤いお馬車に乗るでしょう。
赤いお馬車のゆくみちは、
白い芒のみちでしょう、
野菊もちいさく咲いてましょう。