『弁天島』 詩金子みすゞ
「あまりかわいい島だから
ここには惜しい島だから、
貰ってゆくよ、綱つけて。」
... 北のお國の船乗りが、
ある日、笑っていいました。
うそだ、うそだと思っても、
夜が暗うて、気になって、
朝はお胸もどきどきと、
駈けて浜辺へゆきました。
弁天島は波のうえ、
金のひかりにつつまれて、
もとの緑でありました。
「あまりかわいい島だから
ここには惜しい島だから、
貰ってゆくよ、綱つけて。」
... 北のお國の船乗りが、
ある日、笑っていいました。
うそだ、うそだと思っても、
夜が暗うて、気になって、
朝はお胸もどきどきと、
駈けて浜辺へゆきました。
弁天島は波のうえ、
金のひかりにつつまれて、
もとの緑でありました。