『漁夫の子の唄』 詩 金子みすゞ
私は海に出るだろう。
いつか大きくなった日に、
そしてこんなに凪の日に、
濱の小石におくられて、
ひとりぼっちで勇ましく。
私は島に着くだろう。
... ひどい暴風に流されて、
七日七夜の、夜あけがた、
いつも私のおもってる、
あの、あの、島のあの岸へ。
私は手紙を書くだろう
ひとりで建てた小屋のなか、
ひとりで採った赤い実を、
ひとり楽しく食べながら。
とおい日本のみなさま、と。
(そうだ手紙を持ってゆく、
お鳩を行かなけりゃ。)
そして私は待つだろう。
いつも、いじめてばかりいた、
町の子たちがみんなして、
私とあそびにやってくる、
あかいい船の見えるのを。
そうだ、私は待つだろう。
丁度こんなふうにねころんで、
青いお空と海を見て。
私は海に出るだろう。
いつか大きくなった日に、
そしてこんなに凪の日に、

濱の小石におくられて、
ひとりぼっちで勇ましく。
私は島に着くだろう。
... ひどい暴風に流されて、
七日七夜の、夜あけがた、
いつも私のおもってる、
あの、あの、島のあの岸へ。
私は手紙を書くだろう
ひとりで建てた小屋のなか、
ひとりで採った赤い実を、
ひとり楽しく食べながら。
とおい日本のみなさま、と。
(そうだ手紙を持ってゆく、
お鳩を行かなけりゃ。)
そして私は待つだろう。
いつも、いじめてばかりいた、
町の子たちがみんなして、
私とあそびにやってくる、
あかいい船の見えるのを。
そうだ、私は待つだろう。
丁度こんなふうにねころんで、
青いお空と海を見て。