『泣むし』詩 金子みすゞ
「泣むし、毛虫
つまんで捨てろ」
どっかで誰かいうような。
そっちあたりをみまわせば、
青い桜の葉のかげに、
... 毛虫がひとつ居たばかり。
廻旋塔のかげをさす、
運動場のひろいこと。
遠い校舎のオルガンの
音のしずかにひびき出す。
いまさらうちへはいれない
さくらの葉っぱをむしってる。
「泣むし、毛虫
つまんで捨てろ」
どっかで誰かいうような。
そっちあたりをみまわせば、
青い桜の葉のかげに、
... 毛虫がひとつ居たばかり。
廻旋塔のかげをさす、
運動場のひろいこと。
遠い校舎のオルガンの
音のしずかにひびき出す。
いまさらうちへはいれない
さくらの葉っぱをむしってる。