『私』 詩 金子みすゞ
どこだって私がいるの、
私のほかに、私がいるの。
通りじゃ店の硝子のなかに、
うちへ帰れば時計のなかに。
お台所じゃお盆にいるし、
... 雨のふる日は、路にまでいるの。
けれどもなぜか、いつ見ても、
お空にゃ決していないのよ。
どこだって私がいるの、
私のほかに、私がいるの。
通りじゃ店の硝子のなかに、
うちへ帰れば時計のなかに。
お台所じゃお盆にいるし、
... 雨のふる日は、路にまでいるの。
けれどもなぜか、いつ見ても、
お空にゃ決していないのよ。