『空っぽ』 詩 金子みすゞ
あかい手箱にいっぱいの、
きれいなきれを着さてみる、
私の人形は、空っぽよ。
からっぽだから、いつまでも、
顔もよごれず、手ももげず、
世界で一ばんきれいなの。
...
からっぽだからその上に、
はなしも出来りゃききもして、
世界で一ばんりこうなの。
紅い鹿の子や、友禅や、
飽かずに、飽かずに、着せかえる、
私の人形は、からっぽよ。
あかい手箱にいっぱいの、
きれいなきれを着さてみる、
私の人形は、空っぽよ。
からっぽだから、いつまでも、
顔もよごれず、手ももげず、
世界で一ばんきれいなの。
...
からっぽだからその上に、
はなしも出来りゃききもして、
世界で一ばんりこうなの。
紅い鹿の子や、友禅や、
飽かずに、飽かずに、着せかえる、
私の人形は、からっぽよ。