『雀』 金子みすゞ
ときどき私はおもうのよ。
雀に御馳走してやって、
みんな馴らして名をつけて、
肩やおててにとまらせて、
よそへあそびに行くことを。
... けれどもじきに忘れるの。
だって、遊びはたくさんで、
雀のことなんか忘れるの。
思い出すのは夜だもの、
雀のいない夜だもの。
いつも私もおもうこと、
もしも雀が知ってたら、
待ちぼけばっかししてるでしょ。
私はほんとにわるい子よ。
ときどき私はおもうのよ。
雀に御馳走してやって、
みんな馴らして名をつけて、
肩やおててにとまらせて、
よそへあそびに行くことを。
... けれどもじきに忘れるの。
だって、遊びはたくさんで、

雀のことなんか忘れるの。
思い出すのは夜だもの、
雀のいない夜だもの。
いつも私もおもうこと、
もしも雀が知ってたら、
待ちぼけばっかししてるでしょ。
私はほんとにわるい子よ。