『二つの草』 詩 金子みすゞ
ちいさい種は仲よしで、
いつも約束してました。
「ふたりはきっと一しょだよ、
ひろい世界へ出る時は。」
けれどひとりはのぞいても、
ほかのひとりは影もなく。
... あとのひとりが出たときは、
さきのひとりは伸びすぎた。
せいたかのっぽのつばめぐさ、
秋の風ふきゃさやさやと、
右に左に、ふりむいて、
もとの友だちさがしてる。
ちいさく咲いた足もとの、
おみこし草を知りもせず。
ちいさい種は仲よしで、
いつも約束してました。

「ふたりはきっと一しょだよ、
ひろい世界へ出る時は。」
けれどひとりはのぞいても、
ほかのひとりは影もなく。
... あとのひとりが出たときは、
さきのひとりは伸びすぎた。
せいたかのっぽのつばめぐさ、
秋の風ふきゃさやさやと、
右に左に、ふりむいて、
もとの友だちさがしてる。
ちいさく咲いた足もとの、
おみこし草を知りもせず。