『さみしい王女』 詩 金子みすゞ | もりいさむのブログ

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『さみしい王女』 詩 金子みすゞ

つよい王子にすくわれて、
城へかえった、おひめさま。

城はむかしの白だけど、
薔薇もかわらず咲くけれど、

なぜかさみしいおひめさま。もりいさむのブログ
... きょうもお空を眺めてた。

   (魔法つかいはこわいけど、
   あのはてしないあお空を、
   白くかがやく翅のべて、
   はるかに遠く旅してた、
   小鳥のころがなつかしい。)

街の上には花が飛び、
城に宴はまだつづく。
それもさみしいおひめさま、
ひとり日暮の花園で、
眞紅な薔薇は見も向かず、
お空ばかりを眺めてた。