『海の人魚』 詩 金子みすゞ | もりいさむのブログ

もりいさむのブログ

ブログの説明を入力します。

『海の人魚』 詩 金子みすゞ
大きな真珠のお手まりや、
貝のかずかず、枝珊瑚、
人魚のむすめは飽きました。

陸の子供のもつという、
黒いおめめの人形が、
ほしい、ほしいと泣きました。もりいさむのブログ

... 母さん人魚のいとしさに、
人魚抱いた兒の船を、
沈めてそれを奪りました。

むすめは人魚みるたびに、
とおいお國がこいしくて、
とうとう海を捨てました。

海の人魚はやわらかな、
藻のゆりかごで、すやすやと、
いまも、お夢をみています。

陸の人魚は、ふるさとを、
こいし、こいしと磯でなく、
磯のちどりになりました。