『杉と杉菜』 詩 金子みすゞ
一本松はうたう。
あの山のむこうの
大きな海のなかに、
蝶々のような、
白帆を三つ、みたよ。
一本杉はうたう。
... あの山のむこうの
大きな町のなかで、
青銅の豚が、
水を噴くのをみたよ。
一本杉の下で
杉菜がうたう。
私もいつか、
あんなに伸びて、
遠くの遠くをみようよ。
一本松はうたう。
あの山のむこうの
大きな海のなかに、
蝶々のような、

白帆を三つ、みたよ。
一本杉はうたう。
... あの山のむこうの
大きな町のなかで、
青銅の豚が、
水を噴くのをみたよ。
一本杉の下で
杉菜がうたう。
私もいつか、
あんなに伸びて、
遠くの遠くをみようよ。