『まり』 詩 金子みすゞ
まりを尋ねて町の子は
知らぬ町までゆきました。
塀の上からふと飛んだ、
それはしゃぼん玉、消えました。
まりを尋ねて町の子は
田舎の一軒屋へゆきました。
... 一軒屋のお背戸でみつけたが、
それはあじさい、散りました。
まりを尋ねて町の子は
青い空までゆきました。
白いやなぎの雲かげに、
まりはかくれておりました。
まりを尋ねて町の子は
知らぬ町までゆきました。
塀の上からふと飛んだ、
それはしゃぼん玉、消えました。

まりを尋ねて町の子は
田舎の一軒屋へゆきました。
... 一軒屋のお背戸でみつけたが、
それはあじさい、散りました。
まりを尋ねて町の子は
青い空までゆきました。
白いやなぎの雲かげに、
まりはかくれておりました。