『誰がほんとを』 詩 金子みすゞ
誰がほんとをいうでしょう、
私のことを、わたしに。
よその小母さんはほめたけど、
なんだかすこうし笑ってた。
誰がほんとをいうでしょう、
花にきいたら首ふった。
... それもそのはず、花たちは、

みんな、あんなにきれいだもの。
誰がほんとをいうでしょう、
小鳥にきいたら逃げちゃった。
きっといけないことなのよ、
だから、言わずに飛んだのよ。
誰がほんとをいうでしょう、
かあさんにきくのは、おかしいし、
(私は、かわいい、いい子なの、
それとも、おかしなおかおなの。)
誰がほんとをいうでしょう、
わたしのことをわたしに。