寒のあめ』 詩 金子みすゞ寒のあめ』 詩 金子みすゞ しぼしぼ雨に 日ぐれの雨に、 まだ灯のつかぬ、 街灯がぬれて。 ... きのうの凧は きのうのままに、 梢にたかく、 やぶれてぬれて。 重たい傘を お肩にかけて、 おくすり提げて、 私はかえる。 しぼしぼ雨に 日ぐれの雨に、 蜜柑の皮は、 ふまれて、ぬれて。