『いい眼』 詩 金子みすゞ
山のむこうの鳩の眼を、
ねらって鉄砲が射てるよな、
いい眼が私にあったなら、
... 町のかあさんのそばにいて、
田舎の、林の、木の枝の、
小鳥の巣かけもみなみえる。
沖の、小鳥の、片かげの、
岩の鮑もみなみえる。
空の、夕焼の、雲のうえ、
天使のすがたもよくみえる。
そんないい眼があったなら、
いつも、母さんのそばにいて、
いろんなことをみようもの。
山のむこうの鳩の眼を、
ねらって鉄砲が射てるよな、
いい眼が私にあったなら、

... 町のかあさんのそばにいて、
田舎の、林の、木の枝の、
小鳥の巣かけもみなみえる。
沖の、小鳥の、片かげの、
岩の鮑もみなみえる。
空の、夕焼の、雲のうえ、
天使のすがたもよくみえる。
そんないい眼があったなら、
いつも、母さんのそばにいて、
いろんなことをみようもの。