『金魚のお墓』 詩 金子みすゞ
暗い、さみしい、土のなか、
金魚はなにをみつめてる。
夏のお池の藻の花と、
揺れる光のまぼろしを。
...
静かな、静かな、土のなか、
金魚はなにをきいている。
そっと落葉の上をゆく、
夜のしぐれのあしおとを。
冷たい、冷たい、土のなか、
金魚はなにをおもってる。
金魚屋の荷のなかにいた、
むかしの、むかしの、友だちを。
暗い、さみしい、土のなか、
金魚はなにをみつめてる。
夏のお池の藻の花と、
揺れる光のまぼろしを。
...
静かな、静かな、土のなか、
金魚はなにをきいている。
そっと落葉の上をゆく、
夜のしぐれのあしおとを。

冷たい、冷たい、土のなか、
金魚はなにをおもってる。
金魚屋の荷のなかにいた、
むかしの、むかしの、友だちを。