『お月さまの唄』 詩 金子みすゞ | もりいさむのブログ
『お月さまの唄』 詩 金子みすゞ
「あとさま、なァんぼ。」
「あとさま、なんぼ。」
ばあやは教えてくれました、
ちょうどこのよな夕月に。
...
「十三、九つ。」
「十三、九つ。」
いまは、弟に教えます。
おなじお背戸で手々ひいて。
「まだ年や、わァかいな、」
「まだ、わァかいな。」
私はこのごろ唄はない、
お月さまみても、忘れてた。
「あとさま、なァんぼ。」
「あとさま、なァんぼ。」
みえぬばあやが手々ひいて、
おもい出させてくれるよな。

