『ゆびきり』 詩 金子みすゞ | もりいさむのブログ
『ゆびきり』 詩 金子みすゞ
牧場の果てにしずしずと、
赤いお日さま沈みます。
柵にもたれて影ふたつ。
...
ひとりは町の子、赤リボン、
ひとりは貧しい牧場の子。
「あしたはきっと、みつけてね、
七つ葉のあるクローバを。」
「そしたら、ぼくに持って来て、
そんなきれいな噴水を。」
「えええ、きっとよ、ゆびきりよ。」
ふたりは指をくみました。
牧場のはての草がくれ、
あかいお日さま、ひとりごと。
「草にかくれて、このままで、
あすは出ないでおきたいな。」

