『かくれんぼう』詩 金子みすゞ『かくれんぼう』詩 金子みすゞ かくれんぼう、かあくれた。 太郎も、次郎も、かあくれた。 裏戸にしょんぼり、鬼ばかり。 (向日葵まわった、 ... 五分ほどまわった。) かくれんぼう、何してる。 ひとりはお背戸の柿の木で、 青い柿の実むしってる。 ひとりは日ぐれの台所、 お鍋の湯気でも眺めてる。 そして鬼さん、何してる。 らっぱの音で飛んで出て、 お馬車へついて行っちゃった。 背戸に立つは桐の木の 静かに、たかい、影ばかり。