『遠い火事』 詩 金子みすゞ 『遠い火事』 詩 金子みすゞ 遠い火事、 忘れたように、みんなして、 戦いごっこをしていたよ。 ... 消えた、消えた、と駈けて来た、 誰かの鼻先、工兵が、 敵の地雷をつかまえた。 勝負がついて、みちばたで、 みんながせいせいいってたら、 三番組が引き上げた、 ラッパ吹き吹き通った。 みんな、だまって見送った、 黒くポンプのゆく空にゃ、 半分かけたお月さん、 とても大きな傘さしてた。