『あるとき』 詩 金子みすゞ『あるとき』 詩 金子みすゞ お家のみえる角へ来て、 おもい出したの、あのことを。 私はもっと、ながいこと、 ... すねていなけりゃいけないの。 だって、かあさんはいったのよ、 「晩までそうしておいで」って。 だのに、みんなが呼びにきて、 わすれて飛んで出ちゃったの。 なんだかきまりが悪いけど、 でもいいわ、 ほんとはきげんのいいほうが、 きっと、母さんは好きだから。