『電信柱』 詩 金子みすゞ『電信柱』 詩 金子みすゞ 耳もとでおしゃべり雀の声がして、 電信柱は眼がさめた。 野菜ぐるまの絶えたころ、 ... 工夫がコツコツやって来た。 おひるすぎから風が出た、 子供がお耳をおっつけた。 糸を切られたふうせんは、 鼻をかすめて飛んでった。 夕焼小焼けで日がくれた、 あたまの近くへ星が出た。 足もとで救世軍がうたうので、 電柱柱はねむくなった。