『天人』詩 金子みすゞ『天人』 詩 金子みすゞ ひとり日暮れのの草山で、 夕やけ雲をみていれば、 いつか参った寺のなか、 暗い欄間の彩雲に、 ... 笛を吹いてた天人の、 やさしい眉をおもい出す。 きっと、私の母さんも あんなきれいな雲のうえ、 うすい衣着て舞いながら、 いま、笛吹いているだろ。 夕やけ雲をみていれば、 なんだか笛の音がする、 かすかに遠い音がする。