『こわれ帽子』 詩 金子みすゞ | もりいさむのブログ

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『こわれ帽子』 詩 金子みすゞ

てんてん手毬、
おててん手から、辷ってころげて、
乞食の子供にひろわれた。

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手毬は欲しし、怖さは怖し、
睨みや、睨みやうってくれて、

行くか、帰るか、あち向きかけて、
麦藁帽子をすぽりとかぶりゃ、                   
すぽり、こわれた、こわれた、帽子、
つばがすぽりとくびまで抜けた。

くるり、ふりむき、アハハと笑うた、
私もうっかり、アハハと笑うた。

こわれ帽子の、そのゆくみちにゃ、
とんぼ、千も萬も舞い舞いしてた。