「ねえ、森の中の湖に集まる鳥達はさあ、たくさん集まってきれいな色のコントラストになってるよね?

いつも思うんだけど、たくさんの鳥達が集まった時だけ見る事ができる大きな絵になったらもっと綺麗だと思わない?」


きつねのへいすけがビーグル犬の社長に、話すともつぶやくとも無く問いかけていました。


「鳥達の身体にペンキで絵を書くって事?」


ビーグル犬の社長は温かい紅茶の入ったカップを持ちながら言いました。


「鳥達の身体にペンキで?ん~っ、そんな事したら白鳥の女の子たちから嫌われてしまうよ。」


森のビーグル犬旅行社の中をグルグル歩き回りながらきつねのへいすけが言いました。


今日もきつねのへいすけは、特別のようもないのに森のビーグル犬旅行社にいます。

きつねのへいすけが机の周りをようもないのにグルグル回るので、ハリネズミ姉は針を立ててきつねのへいすけに言いました。


「あんたねえ、せめてじっと椅子に座ってなさい!」


ハリネズミ姉に言われたら、何をおいても言う事を聞かなければなりません。

アライグマの奥さんに言われても絶対に言う事を聞かなければなりません。

ハムスターの女の子に言われたら、「しかたない、」と言う事を聞きます。

森のくまさんに言われたら・・・もりのくまさんが何かを言う前にきつねのへいすけはいなくなっています。

ビーグル犬の社長に何か言われても?ビーグル犬の社長は何かを言うより何かを考えてる時間の方がずっと長いのです。


「そうだあ~っ!いいことを思いついたあ~!」


きつねのへいすけが騒がしいのはいつもの事だけど、この時は特別な大声で叫んだきつねのへいすけ。


「あのね、あのね・・・」


きつねのへいすけの思いついた事とは・・・


森を抜けた大草原にゾウさんの建設会社がありました。

ゾウさんの建設会社のみんなはたいそう働き者でした。


ゾウさんの建設会社のみんなは、今は遠い暑い砂の国で働いています。


ある時、大草原に残されたそれぞれのゾウさんの家族が、遠い暑い砂の国までゾウのお父さん達に会いに行きたいと森のビーグル犬旅行社に相談に来たのです。


でも、遠い暑い砂の国は本当に遠くて、大草原に残されたゾウさんの家族がみんなで旅をするにはお金が足りなかったのです。


遠い暑い砂の国で働くゾウさん達の家族は、遠いところで一所懸命に働いているお父さんゾウを思って泣きました。


「お父さんに会いたいよ、会いたいよ。」


遠くで働いているゾウさんのお父さんを思って、ゾウさんの子供達は泣きました。


子供達が泣く姿を見て、ビーグル犬の社長は何とかしてあげたいと思いました。

何か良い考えはないものか?

ビーグル犬の社長は何度も何度も旅行に掛かるお金の計算をしてみました。


「海を越えるのにこの船を使って・・・だめだ、この船は安いけど、安全だとは言えない・・・」


ビーグル犬の社長は何度も何度も考えました。

でも、なかなか良いアイデアや解決策が浮かびません。


「そう、そこだよ!それでね、その旅行に足りないお金を森にある他の会社に出してもらえる考えがあるんだ!僕が思いついたよ!」


きつねのへいすけは自慢げに話すのです。


「ゾウさんの子供達が泣かずに済むんだね?」


ビーグル犬の社長が尋ねました。


「そう、泣かずに済むし、もしかしたら一杯のおやつも持って行けるかも・・・は分からないけど。」


さてさて、きつねのへいすけが思いついた良い考えって何だろう?の続きはまた明日。


森のビーグル犬旅行社にはビーグル犬の社長がいます。

ぼーっとしているようでしてない、と見せかけてぼーっとしています。

なぜだかきつねのへいすけの話す事を真剣に聞いてしまいます。

時々きつねのへいすけの話にのせられて、ピンチになったりします。


アライグマの奥さんもいます。

アライグマの奥さんはみんなにやさしいけど、きつねのへいすけにはきびしい。

なぜだかきびしい。


ハリネズミ姉もいます。

ハリネズミ姉はキャリアウーマンです。ハリネズミなので針がたくさんあるけど、誰かが迷惑したって事は聞いた事はありません。


森のくまさんもいます。

森のくまさんは癒し系。

爪も立てたことがありません。

もともと爪が無いのかもしれません。


ハムスターの女の子もいます。

旅行社の中では誰よりも早く電話に出ます。

ハリネズミ姉やアライグマの奥さんの肩は揉むけど、ビーグル犬の社長や森のくまさんの肩は揉みません。


森のみんなは旅行に行く時に「森のビーグル犬旅行社」にでかけます。

森のビーグル犬旅行社に頼むと、どんなところへも行くことが出来ます。

森のビーグル犬旅行社に頼むと、行けない所はありません。


お菓子の国や魔女の国、ライオンの国にも行けます。


「幸せの国にも行ける?」


きつねのへいすけが聞きました。


「あんたはダメかもしんない。」


ハリネズミ姉がいいました。


忘れてました、ハリネズミ姉の針で痛い思いをするのは唯一、きつねのへいすけ。

「調べてきたよ、調べてきた!赤い実の国や南にあるバナナの国でドレスを作ると幾らくらいになるのか。」


きつねのへいすけは息を切らして森のビーグル犬旅行社に飛び込んできた。


「ビーグル犬の社長に分かるように説明するとね、この森で作るウエディングドレスは、4匹が赤い実の国へ旅行するお金と同じ。

そして、赤い実の国でドレスを作ると、同じものを4つ作ってもこの森でドレスを1つ作るのと同じだけなんだ。」


いつものようにきつねのへいすけは自慢げな顔をしていいました。


「だからね、さっそくハツカネズミの一家に教えてあげようよ。」


きつねのへいすけとビーグル犬の社長はハツカネズミの一家に教えてあげる為に森の道を小川の向こうまで歩きました。


「でもさあ、赤い実の国でドレスを作るのと、赤い実の国へ旅行に行くのと、全部でぴったりとこの国で作るドレスと同じって出来すぎてない?」


ビーグル犬の社長が腕を組んで言いました。


「そこを言う?」ときつねのへいすけ。


まあ、若干の(ええっ?ぴったりって・・・)はあるものの、お話は進みます。




きつねのへいすけとビーグル犬の社長はハツカネズミ一家の住む家に着きました。


「ドレスをを作るお金で家族みんなが旅行できて、そのうえ素敵なドレスまで作ることが出来るんだ。」


きつねのへいすけが自慢げに説明しました。


「旅行は楽しいものになるように、私たちがちゃんとお世話します。」


ビーグル犬の社長がやさしく説明しました。


それを聞いたハツカネズミの女の子は喜びました。


「お父さんとお母さんと私の3匹で旅行に行けるのね?楽しい思い出が作れて、そのうえ素敵なドレスまで!なんて素敵でしょう!」


ハツカネズミのお母さんは言いました。


「この娘は、この森一番の花嫁になれそうです。良い話を持ってきてくれてありがとう。」


でも、ハツカネズミのお父さんは言いました。


「私は旅行には行かないよ。私が旅行に行くお金できのこのテーブルを買える。

娘には少しでも新しい生活に役に立つ事をしてあげたいんだ。」


その言葉を聴いてハツカネズミのお母さんは言いました。


「そんな、だったら私も行かなかったらかわいい食器やスプーン、ほかの物をたくさん買ってあげることが出来る。だから私も行かないでおきましょう。」


それを聞いたハツカネズミの女の子は言いました。


「そんな、私は私のものよりふたりに楽しい思いをして欲しいのに。」


3匹のハツカネズミは困ってしまいました。


ハツカネズミの女の子はシクシク泣き出しました。

ハツカネズミのお父さんは困った顔できのこの椅子に座ってしまいました。

ハツカネズミのお母さんはうなだれてしまいました。


きつねのへいすけは言いました。


「せっかくの花嫁さんが泣くのは間違ってるよ!しあわせは楽しいことだよ!そしてみんなで笑うことだよ!」


ハツカネズミの一家の様子を見ていたビーグル犬の社長が言いました。


「ハツカネズミのお父さんとお母さんの気持ちも、ハツカネズミの女の子の気持ちも幸せになる為の気持ちなのに、どうして悲しい気持ちになるんだろ?」


ビーグル犬の社長は考えました。

そして続けてこう言いました。


「僕がアライグマの奥さんと結婚した時は、うれしくてうれしくて、スプーンも椅子もカーテンも何も要らなかったし、何も無かったんだ。

でも幸せだったんだ。


ふたりでいればしあわせだったし、ふたりで楽しく働いて、かわいいカップやテーブルやクローゼットが増えていくのが楽しかったんだ。


そしてそんな僕たちの姿を見て、僕たちのお父さんもお母さんも笑って喜んでくれてるんだ。」


きつねのへいすけはいいました。


「わかった!今は、今はあ~、あれもこれもって考えるより、みんながうれしくなる事が一番良いんだよ。

きのこのテーブルやかわいい食器は結婚したふたりが楽しく働いて買えば良いんだよ。

あれもこれもって、どこら辺でマンゾク?」


でも、ハツカネズミのお父さんは言いました。


「ふたりが働いてばかりでは、ふたりが可哀想だよ。ささいなことでケンカもしてしまう。」


きつねのへいすけはそっとビーグル犬の社長に聞きました。


「結婚てケンカすることなの?ねえ、?」


ビーグル犬の社長は言いました。


「僕たちは、僕たち夫婦は時にはケンカすることもあるけれど、後で仲直りって言う楽しい幸せが付いてくるんです。」


「それってビーグル犬の社長だけなんじゃないの?」


きつねのへいすけ。



いくつかの晴れ間と雨と曇りが過ぎた頃、ハツカネズミのお父さんとお母さんとハツカネズミの花嫁さんがやって来て、ビーグル犬の社長に言いました。


「家族みんなで一杯楽しい思い出が出来ました。

赤い実の食事はものすごくおいしかったし、素敵なドレスも作れました。

そして、なにより楽しい幸せな思い出がたくさん出来て、胸いっぱいで結婚することが出来ました。」


柔らかい笑顔いっぱいにしてハツカネズミの花嫁がいいましたとさ。