DVDはさっさと見るのに、映画になると見に行くまでうだうだ時間がかかる。
この間は「パイレーツ・オブ・カリビアン2」を見るまで、ああでもないこうでもないと迷ったが(ココ
に)、そのくせ、今はJ.ディップがよい~っ!と抜かしておる(^_^ゞ 今回もまた長い道のりでありました。
馳星周『ブルー・ローズ』→→ノワール
→→J.エルロイ『ブラック・ダリア』の風聞→→映画『ブラック・ダリア』を見よう→→映画のクチコミで評価がいまいち、惨殺死体があるらしいのでおじけづく→→りらさんのブログ記事
を読んで、やっぱり見ようと思う。
本当に世話が焼けます。お仕事以外はややヒッキー?
(えっ? ここ3週間ほどで出張以外に能鑑賞にレストラン記事・・・いろいろあるようですけど(--;;;)
ま、とにかく、3日夜7時から、歌舞伎町の映画館で見てきました。
Mにぷんぷく怒っていたので、一人で見に行きましたのw
夜の歌舞伎町といえば、『新宿鮫 』や『不夜城 』、そして猫のダンナ(^^vですね。
この映画にもよく似合う街(^^v お酒が飲めないのがかえすがえすも残念。
マエフリが長いですな。本文も長くなりそうです。
←パンフレット表紙 クリックすると「ブラック・ダリア」公式サイトへ
goo 映画はココ
こんな映画です:
迷宮入りのまま、今も語り継がれる殺人事件をもとにした小説で、ノワール文学の傑作といわれる『ブラック・ダリア
』の映画化。監督はブライアン・デ・パルマ
。
1947年、ハリウッド女優をめざして娼婦になった若い女性エリザベス・ショート(ミア・カーシュナー
)の惨殺死体がロサンゼルスで見つかった。46年映画化された「ブルー・ダリア」にちなんで名づけられたこのブラック・ダリア事件
の真相を、ロス市警の2人の刑事、バッキー(ジョシュ・ハートネット
)とリー(アーロン・エッカート
)が追う。
なんて言う説明は、我ながら不十分だぞ(--;
バッキーとリーの間にいるケイ(スカーレット・ヨハンソン )のビミョーな三角関係とか、バッキーと関係ができる悪女的な富豪令嬢(ヒラリー・スワンク う~ん、ミスキャストでは?)とか、ひとくせあるその父とか、精神を病んでるその母(フィオナ・ショウ うまい!)とか、服役中の銀行強盗とか・・・・・・。人間関係がとっても複雑です。
だけど、予想外によかった! こんなところが。
①1940年代のロスの街の雰囲気やファッション
②CGいっぱいじゃない、いまとなってはむしろ古典的にも見える正統派のホラーサスペンステイスト
③読んでいなくてもわかる(--;原作に敬意を表した映画づくり
④ホラーティックな効果をあげられる素材をもちながら、それで観客を動員しようというようなアホな下心のないまっとうな姿勢
なんだか②③④は、ひとつのことを表現を変えて言ってるだけのような気もしますが(--;
短所を言えば、
a.原作のストーリーが複雑らしくて、原作を読まずに映像を1度見ただけでは細部がわからないところがあった。
(ストーリーが掴みにくいというクチコミも。私の場合、いくつかのシーンはパンフの解説が必要だった。しかし、パンフによると、これでも原作の複雑さをうまく処理しているらしい)
b.どのシーンも映像がすごくいいのに、最後はハッピーエンドなのに、そのわりに見終えたあとのカタルシスの量(--;が少なかった。
(凄惨な事件に、付けたしのようなハッピーエンドは似合わないからか?)
さらに詳しく・・・ほんとはココが書きたかった?
①ロケはブルガリアのソフィアだったらしい。同時代を生きた人が見れば、チガウ!のかもしれないが、雰囲気はよぉく出てました。ファッションもよいです。場末のレズビアン・バーのセクシャルなダンスだとか(うふふ、よかったわ)、まるっこい黒い車の銀色のバンパーに刑事が座るシーン(バンパーがはずれないか心配にはなったけど)とかも。
②白黒映画的なルックを目指したんだそう。たしかに、カラーですが影がよく効いていました。そして、白黒映画のシネマ・イン・シネマ(劇中劇でよいのかしらん)が3つ、これがとぉってもよい。ひとつは『笑ふ男』という実際にある無声映画、もうひとつは惨殺された女性が演じているカメラテスト(監督の注文に合わせて演技をするシーン。これを見て、バッキーが死んだ女性に惚れ込む)。そして、彼女が出演していたレズビアンのポルノ映画(黎明期の作品がもつ原初の魅力、みたいなのが出ていたんじゃないか)。
③最初のほうに、ロス市警の刑事が八百長でボクシングの試合をするシーンがあるんです。その出のときに、「俺たちの本質を見に来た観客・・・。本質とはプライドと野望、夢とはあまりにも違いすぎる現実への不満」とボイス・オーバーで主人公の声が聞こえました。わたし、をを!と思って、暗闇の中でごそごそバッグをさぐってペンを取り出しました(このブログのために?w でも聞き取りは正確じゃなかったような)。このセリフは原作のままなんだろうな、と思い、原作に敬意を表した映画だと思ったのでした。セリフの引用がどれだけあっても、形をなぞっただけの映画は沢山ありますが、このシーン、この映画は違った。
④惨殺死体は、口が耳元まで裂け、胴体の上下が切断され、血がすべて洗い流されているという凄惨なものなんですが、発見現場では観客にその死体を見せない。烏が死体をついばみにきて、刑事が追い払うというすごく恐いシーンになっているんですが。そのあと、2回死体が見えるシーンがあるんですが、全くあざとくはない。必要最小限です。しかし十分、その凄惨さが伝わる。ちゃんとした映画、という感じがしました。
ええい! 長いついでだ(x_x)☆\(-_-メ)バキ
原作者のエルロイが、インタビューに答えて曰く。
「(デ・パルマ監督以前なら)誰がやればよかったかわかるかい? 黒澤明だよ。『天国と地獄』があるからな」
日本人のインタビュアに答えているので、リップサービスもあるかもしれないけど、そんなことを。
なお、エルロイは、②で書いた殺された女性のカメラテストのときの監督の声で出演しているようです。(どちらもパンフネタ)
映画を見ている途中で、映像ではなく文章のほうの流れに気が付きました。
『ブルー・ダリア(青い戦慄)』
(1946年 フィルム・ノアールの傑作 チャンドラーのオリジナル脚本、邦題が『青い戦慄』)
↓
原作『ブラック・ダリア』(1987年)
↓
小説『ブルー・ローズ』(2006年)。
そうか・・・・・・。馳星周さんの『ブルー・ローズ』は、題名に『ブルー・ダリア』と『ブラック・ダリア』を踏まえた、『ブラック・ダリア』のオマージュともいえる小説であったのか?>ニブイぞ
レイモンド チャンドラー, ブルー・ダリア
-
ジェイムズ エルロイ, ブラック・ダリア
馳 星周 ブルー・ローズ〈上〉 〈下〉