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えぇっと、なんの話だったっけ。そう、この部屋の様子をあなたに話しているとこでしたね。そんなわけで、この部屋にあるのは小さな椅子です。背もたれは十五センチくらいで、座るところはぼくの尻がようやく乗る程度。でも、バーの椅子を想像しないでください。あんなに腰掛ける位地は高くないし、あんなに気障ったらしくないですよ。あなたに似た清楚なパイン材の椅子です。
でも、あなたを眺めていると屹立する部分の真下にちょうど黒い楕円形の節があって、遠くから見れば清楚な椅子なのに、座るとすごくエロチックなんです。すごく、すごく、エロチックなんだ。ああ、どういったらいいんだろ。ぼくのあの部分の下には、清楚なあなたのエロい部分があるんです。だから、ときどきぼくはこの椅子をあなたの代わりみたいに思ってしまう。この黒い楕円形の節のおかげで、ぼく、少し幸せになれるんです。でも、それ以上に自分が不幸に思える時間のほうが多いんです。こんな椅子なんか選ばなきゃよかった。
ぼくに幸せと不幸を教えてくれるその椅子の左側に、サイドテーブルを置いています。サイドテーブルの上には発泡性のミネラルウォーターの瓶が二、三本。今は三本置いてあって、一本は空になってます。
このミネラルウォーターは、きっとあなたに気に入ってもらえると思うな。それから、あなたに聞かせたい音楽があります。クィーンです。一回聞くと、はまると思います。
どうしてなんだ? なぜ出てこないんだ? ぼくがこんなにあなたを待っているというのに。ああ、わかった。あなたはぼくをじらしているつもりなんですね。でも、そんなことしなくても、ぼくは充分あなたを愛しています。だから、じらされると苦しいんです。あなたが突然見えなくなると、ぼくはだんだん息が苦しくなるくらいです。わかった。あなたはぼくに苦しみを与えたいんだ。そいでもって、ぼくが苦しみで一杯になって息ができなくなったら、もう一度あなたの愛を確認するために、あなたを愛しはじめる。それがあなたの企みですか? それがいいのか? それがいいんですね。
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