連句なるものヨチヨチ詠みはじめたるは、かのパソ通、ニフチ・フォーラム華やかなりし頃。

座の文芸」と呼ばるる連句は、数人の連衆(れんじゅう・連句のメンバー)集ひ、座を囲みて詠むもの。ネットならば、その空間に架空の座を作りて詠む。


一人五・七・五の長句を詠めば、他の連衆、七・七の短句を付く。その短句に、長句・短句と付けゆきて三十六句を一巻とし「歌仙」と呼ぶ。短きものは十八句二十句、長きものは百句も連ねて一巻となす。


連句には、数々の式目(しきもく・ルール)あれど、浅学の徒なれば十分には知らず。


たとへば、発句(ほっく・第一句)にのみ季語、切れ字用ゆ。
発句のあとの脇句(第二句)は、発句に寄りそひたるをよしとすれど、第三句は大きく転ずべし。
世界を広げるを旨とするものなれば、元に戻るを忌む。ことにひとつの句をはさむ前後の句の世界似たるを禁忌とす。
何句めに春、何句めに秋などの季題配置もおほよそ決まりて、そに従ひ詠むものなり。


これら式目に準じたる句詠むことあたはぬハグレ者なれど、逝く春を見、をもしろき様に逢ひたる日は、自由連句なる五七五に七七連ねるしりとりのごときものでも詠みたしと思ひたつ。


過日の「両国のペンギン」に興催し、長句詠みたり。この句の前に発句、脇句を付け、十八句独吟(どくぎん・一人で詠むこと)の愚かなる仕儀は、心せかるる日のたわけた逃避なり。



       「緑雨」の巻


一  暁の公園に降る緑雨かな      緑雨=新緑


二  ウォーキングの三々五々あり


三  両国にペンギン一頭しほたれて


四  見世物小屋はけふも繁盛


五  楼蘭の棺の上なる雲気文 /ロウラン ウンキモン 雲気文=雲を文様化(デザイン化)したもの

六  如来の笑みもモナリザに似て


七  萌えたるや臆さざらんや若き愛


八  覗き込む目はどんぐり眼  /マナコ


九  三日めの秋月細く差し込みて


十  黄櫨の実に生る里心あり  /ハゼ ナ


十一 行く川の流れは絶ゑずうたかたの


十二 起請文ならあの代筆屋   /キショウモン


十三 五千円あれば頭痛もせぬものを


十四 船漕ぐ人のくさめ水洟   /ミズバナ     


十五 マンゴーとドリアン並ぶ夜の市


十六 隣家の土産機内で購ひ   /アガナ


十七 花一輪胸に抱きて妻に逢ふ


十八 鳥の囀り晩春の色




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