著者: 村上 春樹, 吉本 由美, 都築 響一


正式名称を「東京するめクラブ 地球のはぐれ方 と云ふ。まづ、書名がよいと思つた。「TITLE」 といふ文藝春秋から出てゐる都会情報誌に掲載されたものと書かれてゐた。
発行(2004.11)直後に読んだのだが、読みはじめたら止まらなかつた記憶がある。


3人の著者について
村上春樹さん
と云へば・・・なにをか云はんやであるので、少しだけ気ままに云ふ。
好きな小説2冊:『 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 』『 ねじまき鳥クロニクル
上に較べるとイマイチぴんとこなかった小説2冊:『ノルウェイの森』『国境の南、太陽の西』
最近の『海辺のカフカ』や『アフターダーク』は読んでゐないのでございます。

吉本由美さん
と聞いて・・・どこかで聞いた名前だと思つた。思ひ出せなかつた。
<伝説のスタイリスト>とあつて、ああ、さうだ! さうだつた、と思つた。
スタイリストといふ職業は、この国に於いてはこの人によつて憧れの職業になつたと云つても過言ではナイ。

都築響一さん
と聞いたが・・・だうもわからなかつた。初めての方である。
アート・デザイン編集の鬼才。1998年、木村伊兵衛写真賞を受賞、とあつた。
知らない私が物しらずであるとうなだれたくなるやうな、その道の著名人であると思はれた。

この本は、この3人が、関西弁で云ふところのちょっとケッタイなところに行き、ものした旅行記のやうなものである。
私は「ゆるい顔した文化論」と名づけたい。うぉっほん(x_x)☆\(-_-メ)バキ

構成は以下のとおり

魔都、名古屋に挑む
 食材編 失われた世界としての名古屋
 文化編 日本は世界の名古屋だったのか
 座談会 オー・マイ・ゴッド・名古屋

62万ドルの夜景もまた楽し--熱海
 諦観の静けさに幸あれ
 座談会 熱海改造大計画。私たちにまかせてくれたら・・・

このゆるさがとってもたまらない--ハワイ
 
夢のハワイで盆踊り
 座談会 がんばるだけムダな街なんだよね

誰も(たぶん)知らない江の島
 へぇ、江の島ってこうだったのか
 座談会 秋の雨降る江の島で

ああ、サハリンの灯は遠く
 サハリン大旅行
 ワイルドウェストとしてのサハリン
 座談会 日本人はカニのミソまで食べるのかね

清里--夢のひとつのどんづまり
 
清里 メルヘンの果て
 座談会 山梨ガレイなんて食べたくないんですけど


いかがでせう。
章タイトルだけで、読む気がむらむら湧く人には湧く仕組みになつてゐる。そこが憎いではないか。

なんでも忘れてしまうワタクシが、5ヵ月近く経つてパラパラとまた本をめくり、印象を少しばかり具体的にして箇条書きに書く。

 <熱海>編と<ハワイ>編がもっとも印象に残つてゐる。
・寂れた熱海のルポは、どうしてもうら悲しいものであるが、それもまたよく、
 愛情がひしひしと感じられたものである。
・ハワイ編のピカイチは、各ホテルにおけるマイタイの飲み比べ 点数付き
 この「堕落した」(村上)発想が好き、に加えて、マイタイの薀蓄も好みだつたのか。
 ワタクシは酒が飲めないんですけどね。

・<名古屋>の「食べ物」(村上・吉本)編は、他に較べて面白さがイマイチだつたかもしれない。
 「しゃちほこ丼」「ブラジャー丼」「うなバーガー」「あんかけスパ」「モーニングサービス」とインパクトは十分だし、カラー写真もあるのだが。名古屋のことなら清水義範・・・なのであらうか。しかし、結婚式場・ブライダルカー・菓子まきのルポ(吉本・村上)は至極興味深かつた。

サハリンの最初は、領土問題が論じられ、ちやつと待つて、朝日堂的春樹さん。これまでとテイストが違うので、読むほうもアタマ切り替えますから。と、最初と戸惑つたが、トドのハーレム(村上執筆)やオットセイの強壮剤(都築コラム)で、ほつとしたものであつた。


オマケ:
ブログ名を図々しさうなこの名前に変更するとき、「堂」をつけようと思つたのは、この本の村上朝日堂サン的イメージが心ン中にあつたからであらう。ほんたうに図々しい奴である。
ahahaのほうは「わはは本舗」のやうに笑わせたいと云ふ希望の表れ。

堂と本舗の間に入れるものがなかつたので、<おばはん>を入れた。少し後悔してゐる。

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