ああ、タイに気を取られて、すっかり忘れていました。
このblogを始めるとき、擬古文で歌日記なども書いてみたいと思っていたことを。
文語文法は、ほとんど忘れました。
声を出して読んだ(笑)古文の口調が記憶にあるだけです。
間違っているときは、ぜひぜひご教示くださいm(_ _)m


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をんなありけり。

年の晦日近く雪降る日、をとこと大掃除しにけり。

をんな、ふと思ひたちて言ふ。


「なにか音楽、かけない? 中島みゆきとか」


をとこ、いらへたり。


「ちょうど、そう思ってた。私は『第九』ですけど」

とて、楽聖の曲かけにけり。

をとこ居間を、をんな他の部屋を片付けをり。

やがて、をんなの耳に「歓びの歌」聞こへけり。

歓びの歌、をんなの内に、よろこび運べリ。


昔、をんな、身をえうなきものに思ひなして、さる家いでにけり。

子おきていづる身の、なぜう仕合わせありやと

思ひ定めていでしが、かくなる仕合わせもありと、

しばし耳傾けたり。


  雪時雨歓びの歌聞こへをり
  人とゐる日のあたたくあり
  

ややありて、歌しづまりぬ。

をんな、をとこのもとへ行き、

「もう終わったの? なんか静か」

「じゃあ、かけますか。中島みゆきでも」

かのひと、をとことをんなの想ひ出の人なり。

「プロジェクトXですよ」

曲、たからかに響きたり。

「プロジェクト大掃除ですからね」

言ひ聞かせたる口ぶりに

をんな、あははと笑ひたるとなむ。


   雪やみて輝きゐたりプレアデス
   注連縄とんかつ今宵おつかひ
          
                 プレアデス=昴