◆ガイド嬢の愛国心◆

ワット・プラ・マハートには、ビルマ軍によって首を切り落とされた仏像が並ぶ。その首は戦勝の印にビルマ軍が持ち帰ったのだという。捨て置かれた仏頭のひとつは、木の成長とともにその根に包まれた。(画像は15)
ワット・プラ・マハート全体の印象は抜けたように明るいのだが、仏頭を包んだ木の根のあたりは、やや暗い。


そんなワット・プラ・マハートで、ガイド嬢は言ったのだった。

 タイト ビルマハ ナカワルイデシタ
 24回 センソウシマシタ
 タイハ 2回ダケ マケマシタ
 ソノトキ ビルマハ コノアユタヤヲ ハカイシマシタ


解散になったら、Mはチェシャキャット笑いして言う。
「22回勝ったとは言わなかったなぁ。あとの22回は引き分けだったかもしれない」
「ビルマでも同じように、言ってたりして」ヘ(。Q゚)ノ

ガイド嬢の素直な愛国心と、Mの国際的視点(笑)の間で、ワタクシは戦争の勝敗だとか戦時下の情宣活動(爆)だとか、情と知だとかいうものについて、少しだけ思いをめぐらしたのだった。イチオ


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◆アユタヤ スケッチ◆

すこんと なにかが なくなって
空と風と野原が せいせいしている

なくなったものは
仏像の切り落とされた首ではなく
積み重ねられたレンガでもなく
たぶん ほんとうに なくなったものは 
王の権力という営み

軒下の隙間で
大ヤモリは心ゆくまで
白い卵を はらむ

開いた扇のような枝をもつ
緑の高い木が
そびえるのではなく 佇む

廃墟の塔の天井に
コウモリたちが
黒く小さな点として 棲まう

黄色い衣に身を包んだ
僧侶が三人
王の営みの跡を 歩いている

すこんと なにかが なくなって
空と風と野原が せいせいしている
   


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